走り、立ち止まり、立ち止まり、走る。
そうして日々は、進んでいく。
第2回ハナショウブ小説賞 opsol部門大賞受賞作!

『走れ!スーパー茜号』
著者:小川マコト(おがわ・まこと)
定価:1,870円(本体1,700円+税)
発売日:2025年11月21日(金)
装丁:宮川和夫(宮川和夫事務所)
装画 :askichi
四六版ソフトカバー
ISBN:978-4-434-36507-2
発行元:opsol株式会社
発売元:星雲社
★電子版同日発売予定

 

あらすじ

心も身体も、限界だった。
ハードワークが原因で体調を崩した宮沢祐介は、三十歳を前にIターン転職を決意。生まれ育った東京を離れ、人口二千五百人ほどの小さな町で、移動スーパー「茜号」を走らせている。
複雑な家庭に育ち、かつての恋人とはうまく付き合うことができなかった。過去の経験から、つい人との距離感に慎重になってしまう祐介だったが、茜号を通して繋がる町の人たちとの出会いが、深く傷ついた心を静かにほどいていく――。
“変わらない現実”の中で“変わる心”を描く、再出発の物語。

人生は、そう簡単には変えられない。
それでも、偶然出会ったこの場所で、俺は確かに救われたのだ。

著者:小川マコト(X:@7sevenSegment
TVドラマ、アニメの脚本家として『世にも奇妙な物語』『dinner』『山田くんと7人の魔女』などを手掛ける(「小川真」名義)。
2024年『走れ!スーパー茜号』で第2回ハナショウブ小説賞opsol部門大賞を受賞し、同作にて小説家デビュー。

感想の一部をご紹介!

宗岡 敦子様(紀伊國屋書店福岡本店)
繊細で複雑な人間社会を生きていくという事は、楽しい事よりも、辛い事の方が多いかもしれない。
それでも、相手を知りたいという気持ちを諦めない。
誰かとつながっていく事を恐れない。
その、ほんの少しの勇気を踏み出す一歩が、自分の世界を変えていく事を、物語を通して教えていただきました。
苦しい過去を乗り越え、新しい自分に生まれ変わっていく事を支えてくれる、救いのヒューマン小説。
心に彩りがあふれていくラストに、人の優しさから生まれた笑顔の涙が、胸にじんわりと沁みました。

河野 邦広様(元書店員)
買物難民と言われる方々へのサービスの一環としての移動販売が、逆に訪れる年配の方々に慰められ癒させていく姿は一方的なサービス提供ではない地域の住民としての交流でお互いがお互いを支え合う姿のようで微笑ましい。育児放棄、死別、痴呆症と様々な悩みが綴られて生き辛さがあぶりだされる中で、他人と交流し、美しい風景を眺め、美味しい食事を摂るといった当たり前のことが救いであり大切であることを丁寧に教えてくれるかのよう。
別れや後悔も人生の一部として肯定し、立ち上がることをそっと支えてくれる物語。

藤井亜希さん(紀伊國屋書店相模女子大学ブックセンター)
柔らかで温かな物語だと思っていると、時折、冷たくなる。
冷たさがあるからこそ、よけいに温かさが身に沁みる。
買い物弱者と呼ばれる人たちの、移動スーパー、ひいては、その販売員さんへの感謝の気持ち、親しみをものすごく感じた。
それが、販売員さんの心を温め、やる気になり、誇りとなるなら、なんて素敵なお仕事だろう。
人を傷つけるのも人、救うのも人、そのことを前向きに、思い出させてくれる物語だった。

あおいさん(レビュアー)
小さなやりとりのひとつひとつに、人の気持ちが詰まっていて静かに心に残る。お客さんの細かい要望や、なぞなぞのような注文を解き明かして届ける姿には、祐介の誠実さと優しさがありとても素敵だ。
私自身も、移動スーパーの来る田舎で育った。今でも、移動スーパーの音楽を覚えている。高齢者にとっては、買い物の場であり、ささやかな憩いの場であった。田舎の口コミの早さには、どこも同じなのだなと思わずくすっとしてしまった。

「一人でいるより、人といる時の方が俺は孤独を感じますかねえ」
この言葉に共感する人には、ぜひ読んでほしい。

人といる時のほうが孤独を感じる、その言葉の重みに痛いほど共感した。

広鰭恵利子さん(教育関係者)
春のような作品だと思った。
読んでいると気持ちがほぐれていくのだ。

茜号をまちわびているお年寄りたち・・なんて暖かいのだろう。
多分、意識せずに出てくる暖かさに違いない。
主人公の過去の影も恋愛の挫折も、ゆったりと受け止めてくれる。
長く生きていると、こんな風に人を受け入れられるのかもしれない。
茜号は生活必需品だけでなく、人の心も運ぶのだ、きっと。
いつまでも山道を走っていてほしいという気持ちになった。