ハートレス・ケア
著者:小原瑞樹(おはらみずき)
第1回ハナショウブ小説賞 長編部門大賞受賞作!
就職活動が難航し、やむなく有料老人ホームで介護士として働くことになった大石正人。介護の仕事に意義を見出せず退職を考えるも、今後の転職活動に支障が出ることを恐れ、せめて半年、その間だけの辛抱だと自分に言い聞かせている。
利用者に寄り添う優しい介護士になんてなれないし、なるつもりもない。人気のある職業に就いた友人の話を聞いては劣等感を抱き、今の自分を「負け組」だと卑下する日々が続く。
どうせ半年で辞めるのに。新しい業務を覚えながらもそう考えていた正人は、現場で働く職員たちの姿を見て、とある疑問を抱いた。どうして、この人たちは介護の仕事を選んだのだろうか――。
定価
1,760円(本体1,600円+税)
発売日
2024年9月3日(火)
装丁
宮川和夫(宮川和夫事務所)
装画
スカイエマ
版型
四六版ソフトカバー
ISBN
978-4-434-34003-1
発行元
opsol株式会社
発売元
星雲社
著者プロフィール
小原瑞樹(おはらみずき)
1991年生まれ。京都市出身。元介護士。2023年に『ハートレス・ケア』(旧題:Why do you care?)が第1回ハナショウブ小説賞 長編部門大賞を受賞。
感想の一部をご紹介!
私は介護職員初任者研修の資格を大学生の時に取りました。と言っても資格を取っただけで活用はしていないのですが…。
大石と似たような考えで、万が一働き先に困った時、資格を持っていればなんとかなるかもという安易な考えからです。
正直、同じような理由で介護職に就いた人っていると思うんです。
なのですごく大石の気持ちにわかる〜…と思いながら読んでいました。
しかし利用者の村上や、同僚たちによって考え方が変わっていく。
望んで介護職に就いたとしても、想像と現実のギャップに戸惑う人もいるでしょう。
売り場が広かったら、介護関連の棚に一緒に並べたい!と思うくらい、これから介護を始める人に読んで欲しい作品だと思いました。
22歳の青年が介護と向き合う。
転職活動に向けて辛抱しながらの介護士だけど真面目で真剣に向き合い、考える正人が素敵でした。
お話の中で正人が現場の介護士達になぜこの道を選んだのかを聞いた時に『人生の最後を彩る仕事なんだ』の部分もかなり印象に残るシーンですねー。確かにそうかもと実感してます。
著者さんが元介護士と言うこともあってお話の中がリアリティに溢れていてとても分かりやすかったです。このご自身の経験をもとに創り出された物語をたくさんの方に理解してもらえるといいなぁと思います。
ラストの村上さんと正人のやりとりには涙ですね。前向きな気持ちになりました。
読み出したらテンポよくて一気読み。
誰もが1度この本に出会ってほしい、学校の推薦図書になってほしい、そして物語はもちろん実際の介護の世界についても話し合いたいと思わせる力があります。
介護の仕事に真摯に向き合うからこそ煩悶する主人公の言葉は真実味があり、現場で働く介護士さんや利用者さんたちひとりひとりの姿が本当に見えてきます。
世間や仕事に対する介護士としての矜持と利用者さんたちが抱く尊厳、利用者さんたちが気持ちよく過ごせるようにと思いながら、追いつかない現場を改めて教えられます。
主人公が何もかも吹っ切れたわけではなく、これからも悩んでいくだろうと思いますが、そのことでかえって彼を応援したくなり、自分が介護に直面した時に彼の目と心を通して語られた本当の物語を思い出したいなと思いました。
介護の現場はハードだと聞く。
作業が物理的にも精神的にもハードであるだけではなく、人も足らなければ、給与も低い。
典型的な「やりがい搾取」の職場だ。
介護の世界はまだまだ発展途上だ。
可能性だってある。
この作品を読んで、介護の可能性、未来を信じたい気持ちになった。
大石は悩み抜きいったいどんな結論をだすのか。
介護に必要なこととはいったい何なのか。
どれだけきつくても、私は底辺の仕事だとは思わない。
大石はまだ若い。可能性は無限にある。
だからこそ利用者さんと接するうちに喜んだり悩んだりしていく経験が糧になるといいなと思った。
そうだ、そうだよ。
誰だって。好き好んで介護されたいわけじゃない。
自分のことは自分でやりたい。
当たり前だ。ましてや下の世話など、他人にやってもらい人なんていないだろう。
それでも、そうならざるをえない時がくるかもしれない。
介護する側の思いが正直で、胸に迫ってくる。
介護する側、される側、
両方の思いがしみじみと伝わってくる作品だった。
後期高齢者社会の日本では、切っても切れない福祉の仕事。
安い給料で大変な仕事内容をこなし、本当に頭が下がります。
村上さんの利用者としての気持ちも痛いほど伝わりました。
仕事についても、介護についても考えさせられるお話でした
介護業界に興味を持っている人に勧めたい一冊。
もしくは就職活動をする前の学生にもお勧めしたい!
仕事を辞めたくなった時、自分のことを肯定できなくなった時、そういう時に安心して読める一冊だと思う。
この本を読んだら、たとえ自分の手に入った職が天職じゃなくても、気に入らなくても、それでも誠実に生きていれば、必ず報われるようなそんな気がしてきた
友達のようなスーツ仕事に採用されなかった
だから仕方なく希望じゃなかったけど
とりあえず半年だけ
きれいごとのほうが少ないかもしれない理不尽のほうが多いかもしれないインスタの向こうのキラキラと比べて自分を蔑みたくなることがあるかもしれない
それでもなお の理由が此処にある
なくてはならない仕事なのに。
高齢化社会の日本にとって絶対に必要な仕事なのに。
介護士という仕事、自分になにが出来るのか。
普通って?
とても深く考えさせられた
青年の悩み、先輩の優しさ、要介護者の思いを読みながら自分自身に落とし込んでいく様な読書体験となった。
介護とは人の幸せを心から願うことのできる尊い仕事なのだという言葉が心に残った。
元介護士の著者ならではの作品ではないだろうか。
介護職を知る意味でも読んで良かったと思えた。
好きなことを仕事にできたら、どんなに楽しく幸せだろう。
みんな一度は考えたことがあると思う。
好きでもない仕事を続けていくと言う選択をするのは、転職を選ぶことと同じくらいの勇気が必要だ。
けれど、そんな決断をしながら働いている人の方が、好きを仕事にしている人よりも、きっとずっと多い。
そんな人たちに、「一緒にがんばろうな」と思わせてくれる、未熟で素直で健気な青年の物語だった。
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